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トラックボール製品レビュー

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Kensington Orbit Trackball with Scroll Ring

2009年11月15日掲載
2009年11月22日補随

Orbit Trackball with Scroll Ring
Orbit Optical with Scroll Ring
あの「SlimBlade Trackball」の米国出荷開始から6ヶ月経った2009年9月。KensingtonはOrbitの新製品を発表しました。
11月初旬から米国で出荷開始されたので、早速入手してみました。
 
Orbitは、KensingtonのメインストリームであるExpertMouseに比べて、小型かつ廉価という特徴の製品で、ボディのデザインとしては本機が3代目になります。
今回の新製品の特徴は、Orbitとしては初のスクロールリングが付いたことです。トラックボールユーザには余計な説明になりますが、スクロールリングとは、ボールの周囲にあるリングを回すことでマウスのスクロールホイールの機能を実現したものです。
 
始めに外観ですが、全体に幅が大きくなった印象を受けます。実際のところは、最も幅の広いところは先代のOrbit Opticalと大差ないのですが、これまでのOrbitでは細かったボディの手前側が太くなっているため、印象が太くなっています。
ボディ手前側に取り付けるパームレストが同梱されており、こちらを使うことでグリップ感が断然良くなります。
グリップ感が良くなる一方で、本体の大型化とパームレスト想定のデザインによって、小型トラックボールが好まれると考えられるノートPCでの利用という点では、取り回しの面でもうひとつかも知れません。
左からOrbit / Orbit Trackball with Scroll Ring / Orbit Optical
左からOrbit / Orbit Trackball with Scroll Ring / Orbit Optical
本体は黒の無塗装です。無塗装のプラスチックなので高級感はありませんが、決して安っぽくはなくすっきりと仕上がっています。先代のOrbitOpticalで使われていたラバーコーティングは、経年劣化で表面に粘り気が出てしまっていることを考えると、無塗装の方が安心できるとも言えます。
 
ボールについては、メタリックブルーになりました。私としてはOrbitらしいという印象を受けましたが、試しにOrbit Opticalの玉と入れ替えてみると、これも落ち着いてなかなか良い雰囲気でした。以前のように替え玉を販売してカスタマイズできると楽しそうですね。
ボールの回転については、小玉の特徴が出て軽く転がります。逆に、大玉のようなあとを引く転がり方もしてはくれません。
このボールは、はめ込むようになっているので、単純に本体を裏返しても玉が落ちることはありません。先代のOrbit Opticalでは玉は置いてあるだけなので本体を裏返すと玉が落ちていましたが、この点は改善されています。一方で、転がりを良くするのに用いる「鼻の脂付け」には不便になりました。
回転センサーはレーザーではなく光学式ですので、ボールの横から赤いLEDの光が覗きます。
光学センサーはやや手前側に付いていますが、ボールを転がしていてポインタの挙動で気になったことはありません。また、高速にボールを回してもポインタの飛びは発生しませんでした。
 
続いて、今回のOrbitの目玉。スクロールリングについて見ていきます。
リングはダークグレイで、回し易いように放射状に突起が付いています。ボールのすぐ横にあったこれまでのスクロールリングと異なって、ボールを支える部品を間に挟むような配置ですが、実際にグリップしてみると違和感はありません。
また、リング部分は指が滑りにくい柔らかめの素材を用いてあります。廉価モデルでも使うべきところの素材はしっかりしています。
ホイールを回すと、クリック感は全くありません。また、クリック音も鳴りません。スルスルと回るという感じです。
スクロールリングを1周させると、70回ほどのスクロールイベントが発生します。ExpertMouseについていたスクロールリングでは1周で40回ほどでしたから、少し回しただけでスクロールするようになりました。
 
パームレスト取り付け時
パームレスト取り付け時
 
ボタンは2ボタンのみです。Orbitの伝統ではありますが、安いものではないので、4ボタン対応は今後の課題ではないでしょうか。
スクロールリングを挟んだ分、写真を見るとボタンが随分左右に離れた印象を持つと思います。しかし、このボタンもホイールと同じく違和感なく操作することができるあたり、良く考え尽くされたデザインなのだなと思います。
ボタンのクリック感は、ちょっと不満があります。
私のグリップ方法が正しければ、ボタンは手前の方を操作することになるのですが、ここではボタンのストロークが浅くてクリック感も小さくなっています。個人の好みもあると思いますが、もう少しストロークが深い方がいいと感じました。
本体の厚みの制約もあって、マイクロスイッチよりストロークの浅いタクトスイッチを使ってあるのではないかと思われます。
 
この製品にはソフトウェアは付属していません。基本的な機能の2ボタンとホイールという構成であることから、専用のカスタマイズソフトは不要と判断したのでしょう。
 
しばらく使った印象では、Kensingtonらしい使いやすさを持ったトラックボールだと思います。
ただ、今回のOrbitは小型トラックボールではなくなったので、デスクトップPCでの利用に向いていると思われます。
今回、ノートPCでの利用で嫌われるボール落下を防ぐ構造にした一方で、パームレストが無いと使いづらいという点が残念なところではあります。
残念といっても、地雷製品ではありませんのでご安心を。


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